参加者様がパステルアートのワークショップ途中で進めなくなってしまわれた時にどう対応すればよいかをお話します。その瞬間というのは実際には僅かな時間かも知れませんが、考え方を心に留めておくとスムーズにご案内できますよ。
絵が苦手な方に多いワード
ご存知の通り、パステルアートでは自分で一から絵を描くことはありません。型紙を利用するなどして、余程の大失敗ということが起こらないように、工程が作り込まれています。
潜在的にアートを楽しみたいと思っていても「私、絵は描けないのよ~」という理由で敬遠している方にも挫折無く楽しんで頂けるので、素晴らしい手法だと思います。

一度やってみると、自分の中で「次はこんな風にしたい」という思いが湧き出てきて、二回目・三回目と続けられる方が多いですね。

「表現したい!」って、実は誰しも抱いている欲求なのかもですね。絵は苦手だけどパステルアートは好き!って言ってもらえると本当に嬉しいです。
ですが、それゆえに頻出のワード、絵が苦手だと思っておられる方からの
「私、これ絶対失敗しちゃいそう」「緊張する~」…。
工程が進まなくなってしまっては完成できませんから、講師がそっと背中を押してあげましょう。
失敗しても大丈夫!
まず、講師から伝えていただきたいのが、パステルアートでは取り返しのつかない大失敗はそうそうないということ。
なぜなら…消せるから!
一部分で失敗があっても、そこを消して、再度色を入れてあげれば、さほど目立つことはありません。

ちなみに、消したあとに色を戻すときのコツは、下地からもう一度入れてあげることです。そうすることで、周囲との差があまりなくなります。
失敗を恐れるよりも、思いきって色遊び・形遊びを楽しんで頂きましょう。
寄り添って進めるには
また、途中までは進められていたのに、ある所から萎縮するということは、少なくともそこまでの出来は気に入っているということです。
参加者様が委縮してしまわれたら講師としても緊張しますが、一旦そこに目線を向けて「気に入っていて、台無しにしたくない所はどこか」を探って、そのお気持ちに寄り添いましょう。

「ここ、こだわりの色でキレイに形が出ましたよね!」
「崩しちゃうか心配ですよね。それでは…」
と、注意ポイントを教えてあげてください。そうすることで、安心して進めて頂けるようになります。
全てご自分で完成させることに強いこだわりのない方でしたら、難しい部分には積極的に手助けをしてよいと思います。
どうしても出来ないところは
パステルアートは易しい作業工程で構成されていますが、どうしても省けないフリーハンド作業もあります。このフリーハンドでは、高確率で「絵は苦手」意識の方が固まってしまわれます。
《フリーハンドを避けられないモチーフ例》
・顔のパーツや表情のあるもの
・木の幹や枝、鳥の脚などの細かい部分
例えば、お雛様の顔をフリーハンドで描く、などの作業は、できる・できないの意識がかなりハッキリ分かれるものになります。

お顔を描くのは、かなり苦手とおっしゃる方が多いですね…。
そんな時はマネしやすい見本を用意しておいて、他の紙に練習描きをして頂くのもいいですね。
それでも、何がなんでもご自分では無理!という感じになられた方については、参加者様さえご納得されていれば、講師が代行してもよいと思います。
それほどまでに、ここまでの過程を「台無しにしたくない」とおっしゃるということは、ご自分の作品を気に入っておられるのです。講師として、こんなに嬉しいことはないですね。
そんな時には、 「どんなお顔がいいですか?目はほっそり?お口はこんな風?」 とリクエストを聞きながら進めて、参加者様との協力で出来たという形をとりましょう。

私は、どんなにいびつになっても手描きって愛らしいと思うけど…。そのせいでご自分の作品にガッカリされることになったら本末転倒ですね。
でも、本音を言えばやっぱり最後までご自分で描いて頂きたいなぁ。その方が愛着が湧くんじゃないかしら…?

そればっかりは、人によるから。この方が今日嬉しい気持ちで作品をお持ち帰り頂くためには…?その人、その時の正解を模索しましょう。
講師は、そっと背中を押したり伴走してあげるのが役目だけど、時にはおんぶしてあげてもいいんじゃない?
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